2025年 メッシュワークに寄せられたQ&Aのご紹介

メッシュワークのX公式アカウントでは「メッシュワーク質問箱」と題し、人類学の学び方や日々の仕事・生活への実践方法などに関する質問にお答えする企画を行なっております。
2025年に寄せられた質問の中から、一部抜粋してお届けいたします。
合同会社メッシュワーク 2026.01.12
誰でも

メッシュワークのX公式アカウントでは、人類学の学び方や日々の仕事・生活への実践方法などに関する質問にお答えする企画「メッシュワーク質問箱」を行なっております。皆様からの質問に対して、X公式アカウントを介して比嘉・水上が回答しています。

2025年も、人類学を学ぶ学生の方から、今後人類学を学びたいと考えている社会人の方まで、多くの方から質問をいただきました。お寄せいただいた質問の中から、一部抜粋して掲載いたします。

人類学はビジネスへどう活かすことができる?

Q:人類学に関心はあるのですが、実際に自分の仕事にどう活かせるのかが分かりません。人類学ってどんな業種・職種にも活かせるものなのでしょうか?

A:「人類学は全てに役立つ万能薬!」だなんて誇大広告はさすがに出しませんけれども笑、異なる論理をもつ他者やコミュニティと対峙しつづける胆力、状況や行為を精緻に観察、的確に言語化し、背景の文脈や構造を明らかにする分析力などは、さまざまな業務の多様な場面で活かされると思います。(比嘉)

Q:ビジネス人類学を実践してきた中で、「これは人類学だからできた」と感じた強みなどはありますか?

A:ビジネスの文脈だと、まず課題を細分化・特定し、回答可能な状態にしてから、取り組むことが多いと思います。一方で、人類学では周りを見渡し、人と出会い、記述することからスタートし、分解や分析は後から行われます。そのような視点や実践を企業に提供し、彼ら自身を省みてもらう経験を提供できたことが「これは人類学だからできた」と感じたことでしょうか。(水上)

Q:質問です!近年ビジネスの場で参与観察や訪問調査がひろがってきてはいますが、人類学者のリサーチのアプローチで特徴的だけど見えづらいのはどんなところだと感じますか?また、より人類学者の目線を持つリサーチが重要になるシーンはどんなところだと感じていらっしゃるでしょうか?

A:人類学的なリサーチの特徴であり見えづらい部分として、対象者の方々と過ごす時間の「余白部分」があるかと思います。一緒にご飯をたべたり、その方のお仕事を手伝ったり。そのようにともに過ごす時間のなかで、ふと語られる言葉から色々な気づきを得ることは多いです。例えば、人類学的リサーチが重要視される場面として、ヘルスケア領域などが該当しますね。つまりそれは、特定のイベントや瞬間ではなく、対象者の「日常」を丁寧に捉えていくことが求められるからかもしれません。何気ない日々を描きだすことこそ案外難しく、それゆえ価値のある仕事のように思います。(比嘉)

人類学はどうやって学んでいくべき?

Q:人類学初心者です。化粧品メーカーのマーケティング部門で働いており、私の職場にも「人類学者の目」を取り入れたいと思っています。そのためには、まず本から学ぶのがよいのでしょうか?またメッシュワークの研修は、化粧品会社に勤めている私のような人間でも受けることはできますか?

A:もしご興味あれば、まずは『アンソロ・ビジョン』を読んでみるのはいかがでしょうか?マーケティングの事例も出てきます。また、もちろんメッシュワークの研修を使っていただくことも歓迎です!これまで、自動車メーカー、広告代理店、コンサルティング会社、大学職員など様々な方に研修を提供しています。(水上)

Q:最近プチフィールドワークを近所で実践している者です。私も長く身をフィールドに置くことの意義を肌で感じ始めています。一方フィールドワーク初心者なため、「長い時間を過ごす以外に、なにが大事なのだろう」と悩んでいます。人々と信頼関係を築くだけでいいのでしょうか?

A:フィールドにできるだけ長く身を置くということは、単に一日より二日、二日より一週間と、滞在日数の長さに比例して情報量が増えるという意味ではない。その身体がフィールドの環境に馴染み、その土地固有のリズムを感得するために、ある一定の時間がどうしても必要なのだと思う。ビジネスのリサーチ設計では、調査期間とはつまり「必要な情報を最短で集めるための時間」として計算されがちだ。けれども、現場の息づかいや関係の変化を捉えるには、計算では測れない時間がある。その重要性をどう伝えるか。いつも考えてしまう。(比嘉)

人類学の面白さとは?

Q:人類学に出会ってから、みなさんの日常の見え方が変わったと感じたことはありますか?

A:日常って複数あるのか!というのが人類学に出会ってから感覚が変わった部分だと思います。人類学を学ぶ前は、一つの日常、一つの視点、一つの世界だと思っており、その世界に馴染めないことに苦しんでいました。人類学を学び、世界は一つではないのかも?と感じはじめ少し楽になりました。(水上)

Q:最近、人類学を実践していてよかったと思うことはありますか?

A:そうですねえ、毎回フィールドワークやリサーチという名の下に、自分の日常のなかではほぼ交わる機会がないような多様な人びとと出会い、各々の人生に触れさせていただけるのが、どこまでも面白く、刺激的な仕事だなといつも思います。僥倖に恵まれつづける感覚があります。出会った方々からそんなふうに分けていただく語りや経験の断片を、私たちは受け取り、噛みしめて、何らかの形で応答していくわけですが、果たして一体自分に何ができるのだろうと、毎回真剣に、全力で悩みます。そんな悩める瞬間も含めて、幸せな仕事をさせていただいていると思います。(比嘉)

人類学ゼミに関して

Q:ゼミについて質問です。「自らの言葉で物語をつむぐ」力は、私自身とても大切だと感じています。一方、その力がなぜ大切なのか十分に言語化できてない部分があります。もし可能であれば、この点について、ゼミの内容とも関連づけながら教えていただくことは可能でしょうか?

A:世の中には主語や視点の明記されない文章が多いなと日頃から思っています。主語や視点を曖昧にすることで、なんとなく一般化してしまったり、まるで普遍的で唯一解であるかのように聞こえてしまったり。その弊害はとても大きいのではないでしょうか、書く側にとっても、書かれる側にとっても。他者の存在やその物語を真摯に受けとめようとするほどに、聴き手/リサーチャーの我々も透明人間にはなれない。それは聴く側と聴かれる側が相互に出会い交わるところから立ちあがるものを一緒に探り、掴もうとする営みになる気がしています。

その意味でも、主語や視点の不在というのはありえない。といったことを、実践的にわかっていくのがこのゼミのひとつの特徴かなと思ってます。そうした経験を経ると、おのずと私たちの書く言葉の手触りも変化していきますし、それは気づけば「自分の言葉」になっているのではないかと。表層的なテクニックの話ではなく質的な変容を経験できるのかなと。(比嘉)

Q:ゼミに関する質問。計6日間の合宿の他に、想定されているワーク(事前課題/宿題など)はありますでしょうか?(課題図書を読む、○○について調べる、合宿時のアウトプットを清書するなど)仕事と両立できるか(ちゃんとやり切れるか)気になります。

A:事前課題は少し出そうと思っていますが、本の一部を抜粋したものや、論文の一部を抜粋したものに事前に目を通していただいて、現地でディスカッションするようなイメージですので、そこまでの準備時間は(もちろん読むスピードは人によって異なりますが)かからないと考えています。ご自身で時間を取っていただくことがあるとすれば、最後に(この3回の合宿の後のどこかで)得たことや考えたことをなんらかの形で発表する場を設けたいと思っていまして、その最終アウトプットの制作や準備というのは、みなさんがちょっと気合いを入れて頑張っていただく瞬間かなという気がします。

今までのゼミにも、本業がかなり忙しい方もいらっしゃって(あるいはご家族の事情で大変な方とかもいらして)常にフルコミットできず山あり谷ありの人も何人かいらっしゃいましたが、それでもなんとかみんなで知恵を出しあったり助け合ったりしてきました。なので、メッシュワークゼミは個人の探究の場であるだけでなく、ゼミ生たちと一緒になっての探究ですし、そうした助け合いのコミュニティのなかでの学びだと思っていただけたらとても嬉しいです。(比嘉)

Q:ゼミに関するご質問。フィールドワークやインタビューは、参加者全員で行い、アウトプットは一人一人実施するイメージでしょうか?昨年までのゼミの展示を拝見してて、最初にフィールドやテーマを一人で決めるのがとてもハードルが高そうに見えたため質問です。

A:フィールドワークやインタビューは基本的に全員で行いつつも、そのなかで徐々に(初回〜2回目〜3回目と段階的に)参加者それぞれの関心・フォーカスが定まってくるよう、現地で私がみなさんと丁寧に議論や壁打ちをさせていただく時間も取りたいと思っています。なお、アウトプットは(参加者のみなさんとも話し合いたいと思っていますが)現段階では一人ずつ行なっていただくことを想定しています。

ちなみに昨年までのゼミとの比較でいえば、昨年のほうが完全に自由なところからテーマやフィールドを設定をしていて個人活動が中心であったのに対して、今回は皆さんが小田原という同じ場所に向きあい、同じ人の語りに耳を傾ける時間もあり、そこから一緒にディスカッションしたり、また個人でワークもしたり…と、初期のテーマ設定・フィールド設定自体のハードルは比較的低いのではないかと思っています。(比嘉) 

人類学徒へのメッセージ

Q:就活で悩んでいる人類学徒に、一言お願いします!

A:人類学を学んだりフィールドワークした経験は、そのまま語ってしまうと伝わりにくいかもしれません。ただ、「当たり前」を疑い、目の前の事象を捉え直す力は、新しい価値を生み出す源泉となるはずです。そのように自身の経験を翻訳して企業の人と話してみると楽しいと思います!(水上)

Q:もし今、人類学を勉強していた頃の学生・院生時代の自分に会えたとしたら、どんな言葉をかけてあげますか?

A:「そのままで大丈夫、信念もって人類学やっていこう」って言ってハグします笑。今の悩める人類学徒にも似たようなこと言うかもしれませんね。とても魅力的な学問なのだから、魅せられてしまったのならとことんやりましょう。(比嘉)

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