ビジネス×人類学の最前線を語るイベント開催報告/メッシュワークゼミ第2期生note配信
弊社主催イベントの開催、メッシュワークゼミ第2期生のnote配信に関して、お伝えします。
ビジネス×人類学の最前線を語る弊社主催イベントが開催
10月21日(土)の19時から21時にかけて、「組織に新たな視点と発想を:人類学者からのヒント」と題したトークイベントを、Impact Hub Toykoにて開催しました。
多摩美術大学の文化人類学者であり、現在アトリエ・アンソロポロジー合同会社の代表をされている中村寛氏と、弊社共同代表の比嘉が登壇し、参加者の皆様と夕食を共にしながら進行する1時間半となりました。
アトリエ・アンソロポロジーとメッシュワークの双方が目指すことや、携わっているプロジェクトの詳細などについて紹介しながら、「人類学がビジネスの現場において、いかに価値を生み出せるのか」について議論しました。
対談の中で、中村氏からは、地方の活性化をテーマとする民間企業との連携プロジェクトから得た示唆として、現状の企業が行っているようなアプローチ方法だけでは解決できない課題、捉えられないことがあるというお話がありました。
短期的な利益の追求を求めがちな企業的アプローチでは、すでに設定された仮説に対しては非常に効率的に解決策を提示できる一方、わかりやすい問題を解決へ導こうとして別の問題を拡大させてしまったり、持続的な解決策を提示できずプロジェクトの効果がすぐに切れてしまうことがあるそうです。
いっぽうで人類学的アプローチは、「問題とは何か?」を問い続けながら、アプローチすべき仮説や問題それ自体を変化させ続けていきます。
中村氏のプロジェクトでも、参与観察に基づいた手法から長期的に地元の方々と対話を重ねていくことで取り組みを進めていったそうです。そうすることによって、地域に長期的に根付いていく、本当に価値のあるプロジェクトを作っていくことが可能になると中村氏は語りました。
また、比嘉からは、UR都市機構と連携した団地活性化プロジェクトから得た知見として、人類学者が行う参与観察と同じように、ユーザーと同じ体験をしてみること(本プロジェクトでは団地に実際に住むこと)がもたらす価値について言及がありました。
たんに団地の住民を観察したりインタビューをするだけではなく、実際に団地へ2ヶ月間居住していたことで、インタビューだけでは拾うことができないであろうユーザーの声や姿、言葉にはなりづらいけれども重要な感覚を垣間見ることができたと語りました。
対談は、企業的なアプローチと人類学的アプローチの違い、そしてお互いがどのように補完しあうことができるかについて、他にも様々な事例を引用しながら進行しました。
問いや仮説を変えていったり、「そもそも」の前提を疑ってみたりする人類学的アプローチは、目的から最短距離の道を進むような企業活動と一見矛盾するように見えます。しかし、そのようなアプローチだからこそ、寄り道したり、歩くスピードを変えてみることで、効率的で直線的な企業的なアプローチでは見えなかったことに気づかせてくれるのであり、そのような人類学的アプローチの可能性の大きさを改めて感じることができる対談となりました。
後半は、参加者との交流が行われ、それぞれの業界において人類学をどのように活かせるのか、既存のビジネスの考え方との共存の仕方などについて意見が交わされました。
対談内容の詳細は、当日会場で田中友美乃さんに描いていただいたグラフィックレコーディングの画像をご覧ください。
メッシュワークゼミ第2期生によるnoteの配信が開始
メッシュワークゼミ第二期が、9月中旬より始まっております。ゼミ生による、ゼミの様子をレポートしたnoteが続々と公開されています。
毎週のゼミで学んだこと・感じたことを振り返りながら、ゼミ生の視点が人類学的プロセスによって変化していく様子が記録されています。
メッシュワークゼミの様子がわかることはもちろん、人類学的視点とは何か、自分の生活や仕事をいかに捉え直せるかなどについて、大きなヒントを得られる内容となっています。
ゼミ生のnoteを一部ご紹介します。
①みずほさん『メッシュワークゼミナール#1』
ゼミ生のみずほさんがメッシュワークゼミに参加した理由、第一回のゼミの内容や自身が感じたことなどについて書いています。
講師である比嘉と水上の言葉を紹介しつつ、「考えれば考えるほどよくわからないもの」である人類学へ向かっていく意気込みが、日々の生活の中で感じていることとともに語られていきます。
人類学的アプローチと筆者の問題意識がどのように交差していくのか、次回以降も楽しみになる内容です。
②Hitomi Kiharaさん『記録|メッシュワークゼミナール#03』
Hitomi Kiharaさんが書いている、振り返りです。ゼミの課題図書であるマリノフスキ『西太平洋の遠洋航海者』と、菅原和孝『フィールドワークへの挑戦』の二冊の書籍に関する要約と解釈が丁寧に綴られています。
Kiharaさんが実際に経験したことと、2つの本が重なりながら、彼女自身の眼差しも浮かび上がってきます。
他のゼミ生によるnoteも、こちらのマガジンにまとめてありますので、ぜひご覧ください。
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