【2月24日開始】メッシュワークゼミ「フィールドから揺さぶられるとき」
「フィールドから揺さぶられるとき」始まります
2月24日から26日の3日間、メッシュワーク人類学ゼミの第1期生によるプレゼンテーション「フィールドから揺さぶられるとき」が遂に開始します!7名の社会人ゼミ生たちが各々のフィールドワークの成果をまとめた展示と、同じ会場で開催されるトークイベントを予定しています。
【展示】
期間:2月24日(金)~2月26日(日)10:00~18:00(最終日14:00まで)
会場:東京都目黒区目黒2-11-3 印刷工場1階 メッシュワークオフィス
予約:不要
【トークイベント】
期間:2月24日(金)19:00~21:00
予約:現地入場券の受付は締め切りましたが、後日配信するイベント動画の視聴チケットはまだ、空席がございます。Peatixより、ぜひお申し込みください!
ゼミ生紹介!
「フィールドから揺さぶられるとき」に参加&登壇予定の7人のゼミ生。皆さんの個性豊かなテーマを一挙に紹介していきます。
①一軒家型シェアハウスにおける「住人」という関係性の特殊さ〜住んで2年になるアオイエ新代田のリビングをフィールドにして〜
自身が住人として生活するシェアハウスにおける関係性を考えた市村彩さん。東畑開人『居るのはつらいよ』から「居場所」についてのアイデアを得ながら、シェアハウスの居心地の良さに迫ります!
「家族とも友達とも違う「住人」とはどのような関係性なのか。それはどのようにつくられるのか。
その関心が生まれたきっかけは、4年前、400人規模の学生寮から一軒家型シェアハウス(=アオイエ:コミュニティの醸成に特化しているシェアハウス。会社が運営している)に引っ越したことだった。共同生活という点では同じでも、シェアハウス住人との関わり方は寮生同士の関わり方と全く異なっており、面白いと思った。何より居心地が良かった」
②モノに託された断片
とある夫婦の「雑然として見えた部屋」に通ううち、徐々に当初とは異なる風景が見えるようになってきたという、井手あぐりさん。
「中学のとき眼鏡に見いだしたオリジナリティ、新しい服を試しては模索した自分らしいスタイル、そんな彼が今ファッションに求めるもの。 最初ただ雑然として見えたその部屋には、モノと思い出が地層のように積み重なっている。所狭しとしまわれた洋服や眼鏡たちからどんどん呼び起こされる思い出の断片を書き取りながら、彼の見てきた世界がそこに立ち上がってくる。 ファッションは身にまとうものではなく、こうして家の中に積んでいくためにあるのではないかとすら思えてくる。 いつしか自分もモノに囲まれるこの部屋を居心地よく感じるようになっていた」
③モノの扱いに現れる隣のじいちゃんの仕事観・人生観
根岸浩章さんは、隣の家に住んでいる80歳の現役大工「じっじ」の世界に迫ります。
「一緒に酒を飲んで冗談を言い合う友達のような関係でもあるじっじが、どんなふうにこの世界を眺めているのかが、ふと気になった。
作業現場などから『とりあえず』持ち帰られ、家で大事に保管されたり、次の所有者に渡ったり、新しいなにかに生まれ変わったり、結局出番がなく処分されたりするモノたち。それらはどういう経路や経緯でここに辿り着き、これからどこに向かうのか。あるいは、どういうふうな価値を見出され、どのように仕分けられているのか」
④ベンチの中でつくられる、選手たちの協奏曲
創設からもうすぐ20年の草ソフトボールチームをフィールドにした弓指利武さん。ベンチで繰り広げられる会話や仕草、オフ会から、選手たちのどんな物語が立ち上がるのか!?
「組織やチームの状態を表す「風土」「雰囲気」とは一体何なのか。まるで具体的に手に取れない厄介な霞のようである。数多ある組織論を眺めたとて、今ここにある「風土」「雰囲気」は捉えきれない。もしや、そこで奏でられる言葉や仕草の一つ一つにヒントがあるのではないか。
試合中のベンチでの選手間の関係性や会話等を観察し、集う選手達はどんな場面で、どんな言動を起こしているのか。それは誰に向けられ、何を意味するのか」
⑤画面の向こうに広がるベトナムの人々の暮らしと「働く」
ソフトウェア開発においてプロダクトや働き方を改善する話し合いを支援するEmi Kobayashiさん。数年前からベトナムの開発メンバーと働き始めたことがきっかけで、人類学に辿り着いたといいます。
「ベトナムの開発メンバーとのやり取りや、ベトナム滞在の経験を通して認知した「自分」というフィルターの存在。その分厚さに戸惑いながら、自分の思考の変遷に向き合い、「自分」を「分かろう」とし、それを手がかりにベトナムメンバーや私を取り巻く人々を「分かろう」とした記録です」
⑥「居心地の良さ」を作るもの
落ち着くカフェと、なぜだか好きになれないカフェ。心やすらぐ銭湯と、リラックスできない銭湯。Yoshitaka Sagawaさんは、生活のなかの小さな違いを出発点に「居心地」について考える。
「その場の「居心地」を左右する、普段は無意識に感じ取っているような小さな要素を、改めて拾いあげることを試みた。「カフェ」と「銭湯」という2タイプの公共空間をフィールドとしている。カフェは個人経営のものからチェーン店まで、銭湯は複数の町の個人経営店と健康ランドを見ることで「居心地」を構成する要素について考えた」
⑦参与観察を通して「はたらく」を生成する ~転職を通して捉えなおした私の「はたらく」の意味~
自身の転職という経験をフィールドワークすることを試みた、小川泰明さん。スコット『実践 日々のアナキズム』を援用しながら、社会における「はたらく」を捉え直す。
「新たな同僚とともに手を動かすなかで知る「彼ら」の「はたらく」。「彼ら」と日々のさまざまな出来事に向き合い、喜怒哀楽を分かち合う。出来事の裏側に隠された意味や振る舞いを丁寧に観察し、毎日日記をつけることで生成された私の新たな「はたらく」。
わたしの「はたらく」には光があり、音があり、匂いがあり、手触りがある。
転職活動時だけ行う自己分析(身体性のない思考)や言葉のやり取りが中心となる面談・面接といったコミュニケーションで合意が形成されていく転職システムが見落とした私の「はたらく」を見つけ、拾い上げようとした3か月のフィールドワークの実践である」
主催者より
自分の身体、五感、思考を最大限に動員し、紆余曲折しながらプロジェクトを進めるなかで、受講生が抱いていた当初の関心や問いは徐々に変容していきます。
現場のリアリティに突きうごかされるようにして、自分のものの見方が変わっていく経験こそ、人類学的なフィールドワークの醍醐味なのです。
徹底的な参与観察をとおして、人類学的な態度で物事に向きあってみると、見慣れたはずの「日常」も、なにか異なった質感を伴って、私たちの目の前に現れてきます。そのような試みによって、つい硬直化してしまいがちな私たちのものの見方を少しでも解きほぐし、「他にもありうる世界」への想像力を養っていくことが可能なのではないでしょうか。個々の受講生のプロジェクトをご覧いただき、その可能性と魅力の一端を感じていただければ幸いです。
最後になりますが、メッシュワークゼミおよびプレゼンテーションにご協力くださった皆様のご厚意に、心より御礼申しあげます。
主催者一同
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